
診療内容
慢性的な腎臓の病気を「慢性腎臓病(CKD)」と呼んでいます。単一の疾患名ではなく、様々な腎臓由来の病気はもちろん、糖尿病や膠原病・血管炎、血液の病気などに伴って起きる二次的な腎臓病など全てを網羅する言葉です。ダックスフンドやゴールデンレトリバー、柴犬などをまとめて「犬」と呼んでいるようなものです。CKDは国民の5人に1人が罹患していると推計され、高血圧や糖尿病と並び、患者数が多い国民病と言えます。透析が必要な進行期腎不全になり易い、脳卒中、心臓発作を起こす危険性を増やしてしまう、など全身に影響を及ぼします。また高血圧は国民の3人に1人が該当する、とても頻度の高い疾患です。軽症から重症まで様々ですが、脳卒中や心臓発作、腎障害と密接な関連があり、近年では高齢化の進展に伴い、その重要性と危険性が再認識されています。
腎臓・高血圧内科は、主として慢性腎臓病と高血圧の患者さんを担当する診療科です。該当する代表的な病気や状態は以下の通りです。
• 蛋白尿や血尿などの「尿異常」があると言われた方
• 腎機能の指標である「推算糸球体濾過値(eGFR)」が60ml/min以下の方
• 糖尿病や高血圧、膠原病などで上記の尿異常や腎機能低下が見られる方
• 慢性腎炎(IgA腎症など)、ネフローゼ症候群
• 低ナトリウム血症、高カルシウム血症などのミネラル(電解質)異常
• 慢性尿細管間質性腎炎
• 慢性腎不全
• 遺伝性多発性のう胞腎やファブリー病、アルポート症候群などの遺伝性腎臓病
• 血清尿酸値が高値の方、コレステロール異常がある方
• 2〜3回に一回程度以上の頻度で収縮期血圧が140mmHgを超える方
• ホルモン異常(アルドステロン症)などによる二次性高血圧
• 妊娠高血圧症候群と、その既往がある方
• 腎臓病、高血圧、糖尿病や膠原病などの基礎疾患のある女性の妊娠相談(プレコンセプションケア)
当科は埼玉医科大学総合医療センター腎・高血圧内科と一体で運営されており、特徴として以下の点が挙げられます。
腎炎・ネフローゼに関する豊富な診療経験と実績
腎炎やネフローゼ症候群の他、急性腎障害・腎不全、急速に腎機能が悪化する場合、診断と治療方針確定を目的に腎生検という精密検査を行います。腎・高血圧内科は東日本で五指に入る年間150件の腎生検を実施しており、腎炎・ネフローゼに関する豊富な診療経験をかわごえクリニックでも提供しています。
遺伝性多発性のう胞腎などの遺伝性腎疾患診療
かわごえクリニック、総合医療センターに当科の関連・連携施設をあわせ、埼玉県全体の10%以上の患者さんを拝見しており、本県の当疾患診療の中心施設です。脳動脈瘤、大腸憩室、心臓弁膜症などの合併症を総合的に拝見しており、必要に応じ専門的・先進的な診療実績が豊富な総合医療センター各科と一体として治療に当たります。また特異的治療法であるトルバプタン(サムスカ®)療法も積極的に行っており、80人程度の治療実績があります。その他、ファブリー病やアルポート症候群など他の遺伝性腎疾患についても県内有数の診療実績があります。
電解質異常(ミネラルの異常)
特徴的な症状が少ないので見過ごされがちですが、高齢になると生じやすいことに加え、ある種の降圧薬や利尿薬、骨粗鬆症治療薬、メンタル不調治療薬、プロトンポンプ阻害薬と呼ばれる消化性潰瘍や逆流性食道炎治療薬の服用によっても生じることがあるため、近年患者さんが増加しつつあります。かわごえクリニック、総合医療センター腎臓・高血圧内科は、こうした電解質異常の診断と治療を的確に行える県内でも数少ない施設です。身体不調の自覚症状があり、上記の薬剤を服用している方は一度血液検査を受けられることをお勧めします。
慢性腎不全、透析医療、腎移植
eGFRが30未満に低下し、老廃物の体内蓄積が生じてくる状態を腎不全と呼んでいます。慢性腎臓病のステージG4、G5に相当します。原病の種類により進行の度合いは様々で、色々な手立てにより進行を抑制できる場合も少なくありません。eGFRが10を下回ると透析など腎臓の肩代わりをする腎代替療法を考える時期となるので、血圧管理、体液量管理、ミネラル異常の是正、貧血の是正などと共に食事療法や仕事を含めた生活様式の適正化、運動療法などを通じ、腎臓への負担の軽減と腎臓への血液供給を維持させることで、可能な限り進行を遅らせる手段を講じていきます。腎臓病の食事というと、塩分制限、カリウム制限、蛋白質制限などが必要とお考えの方が多いと思いますが、多少の誤解もあります。全ての患者さん、全ての腎臓病にこうした食事療法が必要なわけではなく、また全ての腎臓病や腎不全に有効というわけでもないので、一人一人に応じた食事のあり方をご提案しています。
また、かつては腎臓病というと安静が強調されていましたが、近年では適切な運動が腎機能の維持に重要であることが明らかにされています。やり過ぎは腎機能に悪影響を与えますが、軽い運動(軽強度運動)は腎血流を維持し、腎不全の進行を遅らせる効果があります。腎不全の進行抑制には多種多様なアプローチが必要となり、医師のみならず栄養士や看護師、運動療法士などによる腎不全診療経験をもつ診療チームが必要になり、かわごえクリニックと総合医療センターが一体となり治療を行っています。
また腎代替療法には血液透析、腹膜透析、両者のハイブリッド透析と生体腎移植、献腎腎移植など多様な方法があります。総合医療センター腎・高血圧内科は県内最多の腹膜透析の実績をもち、また総合医療センターはほぼ県内唯一の献腎移植実施施設でもありますので、患者さん一人一人の希望や状況に応じて様々な種類の中から最適な腎代替療法を提案することが出来る、県内でも数少ない施設となっています。かわごえクリニック腎臓・高血圧内科でも、総合医療センターと一体となり、一人一人の患者さんが状況に応じた腎代替療法を選択して頂けるようサポートしています。
高血圧
高血圧は万病の元であり、脳卒中や心臓病、腎臓病の大きな原因となりますが、一方で腎臓病や心臓病、糖尿病が進むと高血圧となり、原病を更に悪化させることになります。高血圧は140 mmHg以上を指す、とよく言われますが、本来至適血圧は個人ごとに大きく異なります。年齢、性別、体型、糖尿病・心臓病・腎臓病やリウマチなどの基礎疾患の有無と程度、食生活や労働環境、服薬内容などにより血圧上昇が全身臓器に与える影響、つまり高血圧がもたらす危険性(リスク)が大きく異なるためです。すなわち、同じ血圧であっても上記の諸点を考慮することで、当面放置しても良い場合もあれば直ちに治療を開始する必要がある場合もあると言うことです。また血圧の状態を知るためには在宅での自己測定結果を確認することが重要で、季節毎の変動、様々な身体的精神的なストレスの影響を判断し、治療効果を見極めていく必要があります。また緊急時を除き、本来高血圧の治療は徐々に行っていくものであり、半年くらいかけて徐々に下げていくのが理想的です。万人に共通の「良い薬」や「良い食事」などはありません。当科ではこうした個人ごとの状況をよく確認し、それぞれに合った治療をご提案しています。
妊娠高血圧症候群とその既往
かつては妊娠中毒症と呼ばれていた病期で、現在は高血圧が疾患の中心であることが分かってきたため、国際的に「妊娠高血圧症候群」と名称が変更されています。妊婦さんの20人に1人が罹患し、妊娠出産リスクが高まることが知られています。なかでも妊娠中期以降に発症した高血圧に蛋白尿や腎機能障害を伴う場合は妊娠高血圧腎症と呼ばれる重症型となります。妊娠継続と出産リスクを少なくするためには厳格な血圧管理が必要となります。次回以降の妊娠時にも発症する可能性が高く、きちんとした妊娠管理を受ける必要があります。重要な点として、近年の研究により妊娠高血圧症候群に罹患した母体は、出産後に血圧が正常化したとしても将来の高血圧発症リスクが高く、それに伴う脳卒中や心臓病、腎障害の危険性も高まると言う点が挙げられます。出産後は子育てに忙しく「自分のことは二の次」になりがちですが、お子さんの成長を見守り、手助けをしていくためには母親の健康は不可欠です。是非医療機関への定期的な受診を続けて欲しいと思います。産科医と腎臓専門医の全国規模研究会の事務局を務める総合医療センター腎・高血圧内科は妊娠高血圧症候群に関する豊富な診療経験を持っており、かわごえクリニックでも妊娠高血圧の既往がある女性の診療を行っています。該当される方は是非ご相談下さい。
基礎疾患を持つ女性の妊娠相談
腎臓病、糖尿病、膠原病、高血圧などの基礎疾患をお持ちの女性は将来の妊娠についての不安をお持ちと思います。こうした方々に医学的な助言をする分野を「プレコンセプション・ケア」と呼んでいます。疾患と妊娠の両面での専門知識が必要となり、全国的にこうした分野に対応する施設は国立成育医療センターなど、ごく限られているのが現状です。ご不安をお持ちの方は是非ご相談下さい。
スタッフ紹介
名前 | 専門分野 | 資格 |
---|---|---|
![]() 長谷川 元 |
腎疾患一般、水電解質代謝異常症、遺伝性多発性嚢胞腎 | 埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科 特任教授 日本内科学会 内科認定医・指導医 日本腎臓学会認定 腎臓専門医・指導医 日本医師会認定 産業医 |
佐藤真理子 | 腎臓内科一般 | 埼玉医科大学総合医療センター 腎・高血圧内科 助教 日本専門医機構認定 内科専門医 |
診療担当医表
令和7年4月1日現在
月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 | ||
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午前 | 1 | 長谷川 元 | 長谷川 元 | ||||
2 | 佐藤真理子 | ||||||
午後 |